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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
 彼の言葉に小間物屋はポカンとしていたが、やがて、朗らかに笑った。
「なるほど、さようで。そういうことにございますか」
 小間物屋は彼と傍らの千種を愉快そうに交互に見てから、おもむろに台から一つの組紐を取り上げた。
「これなどはいかがですか? 私の扱う品はどれもたいしたものではありませんが、その中では高価なものでございますよ」
「うん」
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