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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
 千種の背中には大きな赤アザがある。赤児の手のひらほどのものだ。
「御所さまにはお眼汚しですね」
 起き上がろうとした千種を頼経は止めた。軽く背中に手を添えて押しとどめる。
「そのままで」
「ですが」
 躊躇う千種に次の瞬間届いたのは信じられない科白だった。
「美しい」
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