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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
 頼経は千種のなだらかな曲線を描く背中を優しい手つきで撫でた。
「今、何と仰せられました?」
 信じられぬ想いで訊ね返すと、頼経はまたしてもはっきりと応えた。
「私は、これほど美しく咲いた花を見たことがない。天上に咲く花のように気高く見える。そなたにふさわしい花だ」
 頼経は千種の背のアザを紅い花にたとえたのだ。白い背中にひらいた紅い花に、頼経はそっと唇を押し当てた。
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