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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第13章 藤の舞
では、あれはまさしく現実?
考えれば考えるほど、悪い事態ばかり想像してしまう。千種は溜息をついた。人を愛することは美しい。愛する誰かを想うだけで、幸せな想いに包まれる。
けれど、その反面、愛は憎しみにも変わり、人を夜叉にする。愛する男を他の女に取られれば、女は男の不実さを恨み、自分から男を奪った女を憎む。延々と果てることのない暗闇地獄へと堕ちてゆく。その地獄に堕ちた女が心に棲まわせる魔物は〝嫉妬〟という名の感情だ。