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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜
 ひそやかな夜のしじまに、波の打ち寄せる音だけが低く響いている。女人の繊細な眉のような月が危うげに紫紺の空に掛かかり、大海原の上には銀砂子を撒いたような夜空が一杯にひろがっていた。
 月明かりが白い砂浜を銀色に染め上げていた。すべてが月光に濡れ、光り輝くような美しい夜、その男は浜辺にひっそりと佇んでいた。
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