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父と娘の近親相姦日記 第2部 暴走編
第34章 どうなっちゃうの?


[12月6日] 風景:可美村のマンション(2)


 可美村は元来、心の中に悪魔を飼い続けるような人間ではなかった。
 むしろ、過去に真知子を助けたときのように、正義を大事に抱えてきた人間である。

 そんな彼の心に変化が生じたのは、真知子との生活を始めてからだったかもしれない。


 あってはいけないこと、してはいけないこと。

 一線、というのはそれぞれの人間が自分なりに持っていて、その先へ進むことがない限り、線の向こうにある欲望も深く欲しはしないものだ。

 タバコを吸ったことのない人間はタバコを吸っていなくてもなんら苦しみを感じない。パチンコをしたことがない人間はパチンコをしなくてもその遊びに飢えることはない。

 しかしその一線を一度越えると、その先には新たな価値観、新たな世界が開かれる。
 一線を守り続けた期間が長ければ長いほど、そのインパクトは人を揺さぶる。


 彼にとって、真知子と始めた新生活は、元来人としてあってはいけないことであった。

 しかし、その一線を越えた後、真知子の持ち前の明るさとこだわりの少ない感性に触れ続けることで彼の中での線引きが緩み始める。

 愛する人を愛し尽くしたいだけという純粋な行為が、人としてあってはいけないことであろうはずはない。

 そんなふうに彼の思いが真知子との出会いと生活を肯定させたところから、彼の中の「正しさ」は変化を容認し始める。


 そして可美村に囁く悪魔は、さらにいくつかの偶然という形をとって彼の理性を蝕み始めた。

  
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