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父と娘の近親相姦日記 第2部 暴走編
第39章 事態を収拾するには勇気が必要だ。いろんな勇気が。
[12月23日(火)] 風景:カラオケボックス
「こんなところに男で二人とか、気持ち悪いな。」
「そんなことないでしょう。若いころは普通に男同士でカラオケ行ったりしませんでしたか?」
桜井徹と可美村星矢は二人で学校からそう遠くない場所にあるカラオケボックスに来ていた。この場所を指示したのは可美村のほうである。
「・・・そうかもしれないが、どういうつもりだ。」
「別に深い意味はないです。人に聞かれたりしないほうが、桜井さんも本音が話しやすいかなと思いました。」
「私のほうに本音で話すことなんかないぞ。」
「そうでしょうか。どうですか。娘さんとは。その後も仲良くされていますか。」
「あたりまえだ。…親子だからな。」
昨今の二人の関係からすればそれは真実ではない。だが自分を脅迫するように金を無心する男にそんな事実を知らせる必要もなかった。
可美村にしてみれば、なんとか桜井徹本人の口から娘との関係をはっきり口にさせたかったがためのカラオケボックスであり、話の切り出しであったが、徹もそこまで間抜けな男ではなく、録音されていることが分かっていてそれを語ることはない。
しかし既に可美村は知っている。
二人の関係が昔のような恋しあう二人の状態ではないことを。
そして二人の間を引き裂いているのが自分であることも。
強がるように、「親子としては仲が良い」とする徹の態度に焦れる一方で、可美村は内心ほくそ笑む気分にもなった。