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父と娘の近親相姦日記 第2部 暴走編
第39章 事態を収拾するには勇気が必要だ。いろんな勇気が。
 「……こっ…これはっ…」

 可美村の顔色がみるみる紅潮していく。

 可美村が中に認めたのは、たった3枚の紙幣であった。
 それも、描かれた肖像は福沢諭吉ではなく、野口英世なのである。

 「なっ…さ、さんぜん…」

 声を失う可美村に再び頭を床にこすりつけ、徹は畳みかける。

 「申し訳っ、申し訳ありませんっ…本当に、本当にお出しできるのはそれが最後なんです。うちには娘が二人います。もうすぐ受験でお金もかかる時期でしてっ…」

 「だか、だからって・・3千円ってことはないっ、だ、だろうっ!?」
 「いやっ、本当にそれが限界で…それに誠心誠意、腹を割って話せば…」

 可美村はソファから立ち上がり激高した。

 「さっ、桜井さん…私は、私はね。慇懃無礼な人間が大嫌いなんだ。表面上は丁寧な口調で迫っておきながら…裏では舌を出している、そんな人間が一番嫌いなんだっ……あんた…そうやって土下座なんかして見せても、心の中では私を馬鹿にしていたんだなっ…何が…何が誠心誠意だ!」

 「ち、違います。そんなことありm」
 「…っ、もう……許せない……」

 「そ、そうおっしゃいますと…」

 下から可美村の表情を見つめる徹の額には汗が浮いていた。
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