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父と娘の近親相姦日記 第2部 暴走編
第39章 事態を収拾するには勇気が必要だ。いろんな勇気が。
 「桜井さん…あんた、油断したな。周りにどんな説得をされたのかはしらんが、告白と土下座くらいでその非人道的な秘密が守れるとでも思ったか。」


 「……いや。全然。」
 「……え?」

 呆けたような顔のまま突然軽い口調で反応する徹に、不意を突かれたように可美村のほうも間の抜けた表情となった。

 「油断か…そう、油断だよな…私が自分の秘密を話して見せることで、お前に油断ができたんだ。」
 「何を…何を言ってる?」

 「録ってたら自分からは秘密を口にしないはずだと、無意識のうちに思ってたんじゃないのか。」 

 徹はフウと、安堵のため息を漏らしながら立ち上がり、左胸のポケットからボイスレコーダーを取り出した。
 それは、3千円の封筒とともにポケットに忍ばせていた「武器」である。


 「あっ!」
 「これで、立場は同等になった、というわけだ。レコーダーまで同じ型番のものだったってのは想像しなかったがな。」

 「き、きさっ…最初からそれが……」

 「先生、なかなか口が堅いな。実際ヒヤヒヤしたよ。告白を録音されて、完全に怒らせて。それでもあんたが喋らなかったら完全に裏目の作戦だ。…だからあんたが見事に自分の口から脅迫してくれた時は、思わず間抜けな表情になっちまった。」

 「よっ、よこせっ!」

 可美村は手を伸ばし、徹に詰め寄りかけた。

 「おっと、やめとけ。店員が来るぞ?! …カラオケボックスといってもちょっと騒ぎになればな。それはお互いの為にならんだろう?」

 徹が身を引きながら制すると、可美村は動きを止めるしかなかった。
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