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父と娘の近親相姦日記 第2部 暴走編
第39章 事態を収拾するには勇気が必要だ。いろんな勇気が。
 「どうだ、目上の人間を土下座させて見下した気分は。こんな経験、もうこの先はないかもしれんぞ。しっかり反芻しておくんだな。」

 「そ、それを…どうする気だ…ですか…」 

 「どうもしないさ。しかし、金輪際お前に金は渡さん。そしてお前がそれを公開すれば、俺はこれを警察へ持っていく。腹いせに娘に嫌がらせのようなことをしても、同じだ。」

 徹の言った娘とは柚子のことであったが、可美村にとっては当然そこに華も含まれる。

 「そんなことしたら、あんたらだって破滅…」
 「織り込み済みだ。娘たちも覚悟は出来ている。だからあんたの負けだよ。もううちの家族には関わるな。」

 「……」
 「ああ…だけど、妻…いや、神尾さんのことだけはお前に任せる。もう彼女もうちに帰ってくる気はないだろう。離婚でも何でもして、きっちり彼女のことだけは幸せにしてやるんだ。」

 可美村は無表情になり、そのまま硬直した。
 完全な敗北を前に、せめて悔し気な顔だけはすまいと、表情を固めていたのである。 

 「俺たちのこれは、互いに使わなければ無かったことと一緒だ。あんただって、これまで通りの普通の生活が送れる。まっとうな生き方で全てを守っていけ。」

 もはや可美村はため息ひとつ無く、じっと徹を見つめるだけだった。

 「声も出ないか。まあいい。その金は置いていこう。けど、ここの払いだけは頼むよ。な。」


 それ以上何を言っても意味はないと、徹はそのままカラオケボックスを出た。
 可美村は放心したまま、黙ってその背中を見送るしかなかったのである。

 
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