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父と娘の近親相姦日記 第2部 暴走編
第42章 2014 2 2015
 「信じられない…あの男が…」
 
 殺したいほどに憎んだ男である。
 なのに、いざ死んだと聞かされても、そこに喜びの感情はかけらも沸いてこなかった。

 それどころか。

 「うそ…お姉ちゃん…なんで…」
 「えっ、な、なによ…」
 
 変わらず無表情のままであったが、華の双眸からはいつしか涙が溢れ出ていたのである。
 華自身、言われるまでそのことに気づかなかった。 

 「…やだ…なんで…なんで涙…」

 自分が涙を流していることに気付くと、それに引きずられるように、表情は一気に泣き顔へと崩れ落ちていく。

 「…どうして…グス…どうして…私…泣いてる…グス…」
 「お姉ちゃん…」

 決して心を開いたことはなかったが、何度も体でつながった男である。
 心でつながることはなくても、華の中にどこかで情が移っていた部分があったのかもしれない。 

 そこにある感情は華にも説明のできない、理解しがたい感情だった。

 自分が泣いている意味もわからないまま、しばらく華は嗚咽を続けた。
 そして柚子は、そんな風に泣き崩れている姉の姿を黙って見守る。


 やがて涙が治まってきたところで、華は再び口を開いた。
 
 
 「…お葬式…は…」
 「もう終わっちゃったって。奥さんと息子さんの住んでた家であったみたいだけど…」

 そこで二人はあることに気付いて、同時にあっ、と声を上げた。

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