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父と娘の近親相姦日記 第2部 暴走編
第43章 新しい形の未来が見える
 「…うん。お金はいっつも無かったけど、私はそんなことが気にならないほど幸せだったわ…」

 悪びれもなく妻はそう言ってみせたが、私にそれを不快に思う気持ちはもう無かった。

 私には華という恋人がいることもあるが、あの男が不幸な最期を迎えてしまったことにもよるのだろう。
 もしあの男がまだ生きていたら、気持ちよく妻を家に迎え入れてやることも出来なかったかもしれない。

 それにしても、あの男が金に困っていたのは本当だったようだ。

 妻のほうがそれを全く気にしていなかったというのも本当だろう。そういう懐の深さが彼女にはある。
 だが付き合いの浅い間柄では、そんな妻の空気を素直に受け止めることも出来なかったのかもしれない。
 いつの時代も、男は常に女の前では強くありたいと願う。二人の間に恋の炎が燃え盛っている間は特にそうだ。

 だからある意味、奴も必死だったのだ。

 しかし奴が私に、いや、この桜井家に仕掛けてきたことを知ってしまえば、彼女の中の綺麗な思い出もドス黒く汚れてしまう。
 それだけではなく、彼女がこの家に居続けることすら苦痛へと変化してしまうに違いない。

 あの男にされたことは今でも許せることのできないものだが、しかしそれを妻には語るまい、と私は心に決めた。
 華と柚子にもちゃんとクギを刺しておかなくてはならない。3人の、一生の秘密だ。


 「もうね、2週間以上も経ったから…思い出しても涙も出ないわねえ。」

 遠くに視線をやりながら、妻は独り言のようにつぶやいた。

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