パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第51章 【番外編】　中学生妊婦の憂鬱 (1)

・桜井柚子と平河江以子　－　教室

　「桜井…今日ちょっと相談があるんだけど…いつものところで。」

　そう言ってエイコが柚子に相談を持ち掛けたのは、それから二日ほど経ってのことである。
　柚子への攻撃は相変わらずであったが、彼女はできるだけ表情を変えず、その全てをやり過ごし続けていた。

　折れそうになる柚子の心を唯一支えていたのは、家に待つ、愛する家族たちだ。

　以前から心配されていたようにイジメの対象となってしまった、という事実は家族には語られていない。
　彼女は一人で耐え続けているだけだ。

　しかし一時期のような、家の中でも独りぼっちという状態であれば、彼女の神経は到底持たなかったに違いない。
　家に帰りさえすれば居場所があるということだけが、何とか彼女の精神を安定させている。　　


　だが、はたから見れば平然としているようなその柚子の態度は、美羽とその取り巻き連中を益々イラつかせ、攻撃の頻度も質も悪化の一途をたどっていた。

　いじめの悪循環構造である。


　「相談か…私も相談に乗る資格があるような状態じゃないけどねえ。」

　「それはそうだけど………そうだね…」
　「あ、冗談。放課後？」

　深刻になりかけたエイコの表情を見て、柚子は慌てて前言を撤回した。

　「うん。ごめんね。」
　「OKOK。もう行って。私といるととばっちり食うよ。」
　「…じゃぁ…あとで。」

　暗い表情のまま去っていくエイコを見て、柚子はそれが自分のせいかもしれないと、少し後ろめたい思いにかられた。