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第4章 ある一日

　ｸﾞｫｯﾎｯ!ｺﾞﾌｫｯ!

　あまりの驚きに、父親は思わずむせて咳きこんだ。

　「ちょｗ！驚きすぎ！鼻からそうめん出てるよｗｗ」
　「いや・・・ごほっ・・・ちょ、ちょっとまて、お前それ知ってて…」
　「うん、見せつけてやったｗ」
　「うーん・・・」


　「まあ、つまりですね。これからはあんまり見つからないよに見つからないようにってしなくても良いってこと。」
　「いやっ、それ、逆だろう」
　「あはは。そうかもしれないけど。ま、お盆休みの間は昼間にいちゃいちゃしよう。」

　そういって、娘は食べ終わった器を片付け始めたところで、ポケットの中でスマホが震えていることに気付いた。
　着信は元カレのリョウタからだったが、出る気にはなれずそのまま留守番電話に後を託す。

　「別に、嫌いになったわけじゃないんだよ」

　心の中でそう言って、しかし、次に彼と話すときには、いったいどんな会話をすればいいのだろう、そう、思った。

　よく見ると、妹からの着信履歴も何回か入っていた。

　大した用じゃないだろうと、そのままスルーしてしまう娘だったが、このことが妹を深く傷つけ、また自分にも災いをもたらすことになるのである。

　しかしこのときの娘にはまだ知る由もなかった。