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第28章 桜井柚子。オンステージ。

　「柚子ちゃん、この方々は、それぞれ各界で活躍されている人たちなんですの。いわば有名人。だから、皆様顔を隠されていますけど、それは許してあげてね。」

　そんな千鶴の解説は、柚子にとってはなんの説明にもなっていない。

　いきなりたくさんの男たちに囲まれて、恐怖のあまり身が硬直していたが、一旦座卓の上に降ろされて全員が少し距離を置いた位置に留まったことがわかると、柚子は少しだけ落着きを取り戻し、周りを観察する余裕が出てきた。

　男たちは動物やヒーローなど様々な種類の覆面をつけていたが、それらは一貫して口元の部分が露出されている。　

　ライオン、フクロウ、タカ、トラ、バットマン、ロボコップ、スパイダーマン、口のないひょっとこ、怪人20面相、赤い彗星、ウルトラマン…

　「皆様、もうビンゴ大会は終わりましたの？」
　「お嬢、かなーり盛り上がったビンゴだったぞ。1位の賞品は私が取った！」

　フクロウの面をした男が、そういってピラピラと札のようなものを見せびらかした。

　「あらあら、先生、いいわねえ。羨ましいわ。」

　男たちは、あはは、あははと大声で笑い、柚子を置いてけぼりにして盛り上がる。