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透明犯罪捜査官 美荻野凛々香の非日常
第1章 ―美荻野凛々香の日常―
「どうしてこれを……」
「押収品を保管庫から持ち出したのさ」
「ダメじゃない! 返さないと!」
「大丈夫だよ……一粒や二粒、わかりっこないって」
「でも……」
確かに、瑠偉人の言う通りかもしれない。だが、OCDは違法ドラッグだ。一般の所持や服用は禁止されており、捕まれば罰金、場合によっては懲役すらある。それは捜査官である凛々香たちが一番よく知っている。
「これ自体はただの薬だ。副作用も中毒性もない。悪いのは罪を犯してしまう弱い心だって、凛々香も言ってたじゃないか」
「そ、そうだけど……」
だからといって、薬を所持して良いとは言っていない。
「ダメよ! 私たちは透明犯罪を取り締まる側なのよ。それが薬を飲んだりしていては沽券にかかわるわ」
「取り締まる側だったら、なおさら試してみるべきだと思わないか? 服用者がどんな気持ちになるのか知ることは捜査の助けにだってなるだろうし」
「そうかもしれないけど……」
凛々香は口ごもる。捜査官としての正義感と、瑠偉人の機嫌を損ねたくないという女心が葛藤する。そんな様子を見て、瑠偉人が優しい声で言う。
「わかったよ。じゃあ、凛々香は飲まなくていい。俺だけが飲むから……」
「えっ?」
「押収品を保管庫から持ち出したのさ」
「ダメじゃない! 返さないと!」
「大丈夫だよ……一粒や二粒、わかりっこないって」
「でも……」
確かに、瑠偉人の言う通りかもしれない。だが、OCDは違法ドラッグだ。一般の所持や服用は禁止されており、捕まれば罰金、場合によっては懲役すらある。それは捜査官である凛々香たちが一番よく知っている。
「これ自体はただの薬だ。副作用も中毒性もない。悪いのは罪を犯してしまう弱い心だって、凛々香も言ってたじゃないか」
「そ、そうだけど……」
だからといって、薬を所持して良いとは言っていない。
「ダメよ! 私たちは透明犯罪を取り締まる側なのよ。それが薬を飲んだりしていては沽券にかかわるわ」
「取り締まる側だったら、なおさら試してみるべきだと思わないか? 服用者がどんな気持ちになるのか知ることは捜査の助けにだってなるだろうし」
「そうかもしれないけど……」
凛々香は口ごもる。捜査官としての正義感と、瑠偉人の機嫌を損ねたくないという女心が葛藤する。そんな様子を見て、瑠偉人が優しい声で言う。
「わかったよ。じゃあ、凛々香は飲まなくていい。俺だけが飲むから……」
「えっ?」