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透明犯罪捜査官 美荻野凛々香の非日常
第1章 ―美荻野凛々香の日常―
絡み付く見えない腕、押し当てられる透明な胸板。目に映らぬ恋人の肉体を確めるように、凛々香は懸命に身体を擦りつける。
傍目には、身の火照りをもてあまして空気に肉を絡める、女の情念がこもった妖艶な舞踏のようであった。
何もない空間に硬く猛る瑠偉人の男性を見つけた凛々香が、その手で握りしめる形を造り、応える。
「……頂戴」
「ねえ、いいだろう? 凛々香も飲んでご覧……二人で……二人でしたいんだ」
「瑠偉人……」
無言。心の底にはまだ拒む気持ちは少しだけ残っていた。しかし、逆らえない。もう、味わってしまっていた。見えない姿での快楽を。瑠偉人は恋人が劣情に流されるまま、要求を受け入れようとしているのを感じ取り、その指先で凛々香の唇を優しく割ると、OCDの錠剤をそっと乗せ、口内に押し込んでいく。
「あ……あ、あ……はむうっ……」
再び口付け。唾液と共に嚥下されるドラッグ。やがて凛々香の体が情景に溶けはじめる。
「あ、ああ……消える……見えなくなっていく……私の体……」
「見えなくたって、凛々香の体は素敵だよ……」
愛しい男の甘い囁きに身を委ね、情欲の海へと身を鎮める。見えない。透明な肉欲。触れ合う肌と肌の感触だけが頼りの情交。
(凄い……何もない所に私たちの熱だけがある感じ……)
傍目には、身の火照りをもてあまして空気に肉を絡める、女の情念がこもった妖艶な舞踏のようであった。
何もない空間に硬く猛る瑠偉人の男性を見つけた凛々香が、その手で握りしめる形を造り、応える。
「……頂戴」
「ねえ、いいだろう? 凛々香も飲んでご覧……二人で……二人でしたいんだ」
「瑠偉人……」
無言。心の底にはまだ拒む気持ちは少しだけ残っていた。しかし、逆らえない。もう、味わってしまっていた。見えない姿での快楽を。瑠偉人は恋人が劣情に流されるまま、要求を受け入れようとしているのを感じ取り、その指先で凛々香の唇を優しく割ると、OCDの錠剤をそっと乗せ、口内に押し込んでいく。
「あ……あ、あ……はむうっ……」
再び口付け。唾液と共に嚥下されるドラッグ。やがて凛々香の体が情景に溶けはじめる。
「あ、ああ……消える……見えなくなっていく……私の体……」
「見えなくたって、凛々香の体は素敵だよ……」
愛しい男の甘い囁きに身を委ね、情欲の海へと身を鎮める。見えない。透明な肉欲。触れ合う肌と肌の感触だけが頼りの情交。
(凄い……何もない所に私たちの熱だけがある感じ……)