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透明犯罪捜査官 美荻野凛々香の非日常
第2章 ―多賀瑠偉人の非日常―
「お兄ちゃん……好き」

 まだ、発展途上の胸の膨らみは、しかし確かな女の柔らかさで瑠偉人を包み込む。鼻腔に満ちてゆく牝の体臭。肉親の――血を分けた妹の匂いに、瑠偉人も己の牡を滾らせる。背徳の行為であること、それがよけいに血を上らせた。若い二人の肉体が絡み合い、ひとつになるのに時間はかからなかった。

「もうしないって約束するから……春名の初めてだけは貰って。上げたいの、お兄ちゃんに……ううん、奪って欲しいの! ああっ……そうっ! 奪って……春名の処女……奪って! あああっ! お兄ちゃん! あ、ああっ……」

 きつく締まる妹の中。肉親の血肉に絡み付かれ、一気に爆発しそうになる瑠偉人の怒張。覆いかぶさる細い裸身を力強く抱き締め、夢中で腰を突き上げる。

「はあっ……ああっ! 感じるっ……お兄ちゃんが春名の胎内で暴れてるっ! 好きよっ! お兄ちゃん! 愛してる! アアンッ! ああっ……言って……お兄ちゃんも春名のこと……好きって言って! ん、ううっ……あくぅっ……う、嘘でもいいから……愛してるって言ってよ! あ、あああああっ!」

「好きだよ! 春名! 愛してる!」

 言わされた……それとも、自分でも気づかなかった秘めた想いが言葉となったのか? 

「……愛してるっ! 愛してるっ!」

「はああんっ……お兄ちゃんっ! 嬉しいっ……春名も……春名も愛してるっ! ずっと……ずっとだよ! 愛してるから……ああっ……あああ、ふあ、アアン、ああああ! もう……いっ……」

瑠偉人が憶えているのは、ただ、自分がこのとき妹と二人、互いに狂おしく肉体を貪り求めながら絶頂を迎えていっしょに叫んだことと、その瞬間、腕の中の愛らしい温もりの、驚くほど激しい震えだけだった。

「く……あ……イクよっ……イク……春名、イッちゃう……お兄ちゃん……あっ……あっ……あ……イクゥ!」

 ぎゅっと瑠偉人にしがみつきながら、春名が腰を落して擦りつける。

 どぷうっ……びゅく、びゅくっ……

 放たれる精を呑みこんで、妹の子宮が歓喜の痙攣を起こしているのが、接合を通して伝わってくる。ぐったりとして全ての体重を預けてくる春名の潰れた乳房の感触を、瑠偉人は気だるく胸に感じながら己の犯してしまった過ちの大きさをぼんやりと感じていた。

 それがまさか、何度も繰り返されることになろうとは思いもせずに。
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