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透明犯罪捜査官 美荻野凛々香の非日常
第2章 ―多賀瑠偉人の非日常―
「お兄ちゃんは……ずっと、ずっと……優しいままだもん……春名にだって……優しいままなんだもん……これからも……」

 そこからは号泣となった。溢れる涙がぼろぼろと伝い落ち、しゃくりあげながら春名は思いの丈を口にする。

「愛してくれなくてもいい……でも……ずっと……優しいお兄ちゃんでいて……優しさだけは春名にも残しておいて……」

 ぐしゃぐしゃになった顔を隠すように瑠偉人の胸に埋める春名。瑠偉人は言葉を失ったまま、その頭を抱きしめることしかできなかった。

「春名……ウッ!」

 いつの間にかズボンのチャックが降ろされ、ブリーフの中に忍んできた春名の指が瑠偉人をグッと掴んで離さない。

「お兄ちゃん……あ、アアン……」

 そのまま瑠偉人に抱きつくように体をもたれかけ、顎の下に舌を這わせる。

「触って……お兄ちゃんも……これが最後になるかもしれないんだから……」

 こんな関係となってしまっていても、春名のことは女としてという前に、純粋に妹として大切に思っている。

 瑠偉人は春名の傷心が痛いほど理解できた。そして自分にはそれをどうすることもできないことも。ただひとつ、できることは、例え禁じられた行為であったとしても、求められるままに慰めてやることだけだ。

 優しく、いたわるような指使いで春名の着ている白いセーターの網模様をなぞる。このまままた一線を越えてしまってよいのか、逡巡がその動きにも表れていた。

「ダメ……激しくして……今日だけは……何もかも忘れさせて」
「春名……」
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