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透明犯罪捜査官 美荻野凛々香の非日常
第2章 ―多賀瑠偉人の非日常―
 瑠偉人の耳朶を食む春名。そして兄の両頬を手で挟み、唇を奪う。

 それは瑠偉人がかつて経験したことのない情熱的なキスだった。

 這い込んだ舌が唇と歯の間をくすぐり、上唇を啄んで静かに唾液を啜る。ふと意識を持っていかれるほどの陶酔の隙に、気づけば瑠偉人の舌は引き摺り出されて妹の口の中で強く吸われていた。

 ちゅるっ……ちゅるるうっ……

「うっ……ん、む……ぐ、ううう……春名っ!」

 精一杯の意志の力で、唇を引きはがす。それでも春名はめげる様子もなくソファの上に瑠偉人を押し倒して迫る。

「ね……お兄ちゃん……春名、優しくしてあげるから……春名はずっとお兄ちゃんのモノだから……」

「い、いけない……春名……やっぱりこんなことはもう……」

 そうは言っても、股間のモノはすっかり起き上がり、張り裂けんばかりとなってチャックから突き出してしまっていた。

 それを握る春名の手の平の冷たさが、熱を帯びた肉にヒンヤリと心地良い。

「ああっ……うっ……春名……よせ」

「お兄ちゃん……可哀そう……春名のせいね……春名が苦しめているのね」

 ゆっくりと、春名が手を滑らせはじめる。

 すっすっ……しゅっ……しゅっ……するっ……すっ……

 力を込めずに、触れるか触れないかで丁寧に摩り上げる。それは春名が言った通り、この上なく優しい愛撫だった。

「愛してるよ……お兄ちゃん……春名はお兄ちゃんが愛してくれなくなっても、ずっとお兄ちゃんのこと、愛しているから……」
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