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透明犯罪捜査官 美荻野凛々香の非日常
第4章 ―円拓の非日常―
(結局、俺は自分の手を汚すことを選んだんだ……)

 指先に残る凛々香の涙の感触を確かめるかのように、拓は開いた自分の両手の平に目を落す。

 何も見えない。透明ドラッグによって完全にカモフラージュされ、そこには、ポッカリと薄闇が口を開けているだけだった。

 と、その何も見えていないはずの空間に、凛々香の手が伸び、その指が絡みついた。

「ン……瑠偉人……?」
「!」

 薄目を開けた凛々香を見て拓は一瞬身を強張らせたが、すぐに落ち着きを取り戻す。夢うつつの状態だ。半ば眠ったままで、人の気配に無意識に反応しているだけだ。起きた時には記憶にも残っていないだろう。

「……どこ? また、お薬飲んでるの? ダメ……だよ……」
「……」

 絡めた指だけを頼りに、凛々香が拓の存在を確めようとする。

「でも……気持ちよかった……いつもより感じたよ……透明でえっちするの……あと、お尻も……恥ずかしかったけど」

 モゾモゾとタオルケットの下で身体を動かす凛々香。ふわり、と拓の鼻腔をくすぐる女の甘い香り。

「ゥ……ン……して……瑠偉人……凛々香のお尻に……いやらしいこと……してちょうだい……」

 艶の滲んだねだり声に、拓の股間が熱く疼く。

(クッ……勃ててる場合か!)

 だが、凛々香に対して肉棒をときめかせてしまったのは今回だけではない。拓とて健全な若い男なのだ。異性の情事や手淫する姿を間近に見れば肉体は素直に反応する。手を出さずにいただけ自制心がある方と言えた。だが、それも限界に近かったのかもしれない。

 タオルケットが捲れ上がり、凛々香のパジャマの胸元がその下から現れた。
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