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透明犯罪捜査官 美荻野凛々香の非日常
第5章 ―美荻野凛々香の非日常―
    ※    ※    ※

 そして今日、二人はついに最後の一線を越えようとしていた。

「よし、今だ……行こう」

 給湯室から外の様子を窺っていた瑠偉人が小声で囁く。腕を引かれて凛々香は白昼の署内へと足を踏み出した。

(ああ……本当に、本当にしてしまった……私、裸で職場を歩いてる!)

 それはこれまで経験してきたどんな卑猥な行為よりも刺激的だった。通り過ぎるのは全て知った顔ばかり。その目と鼻の先で、全裸を晒して歩いているのだ。

(凄い……感じる)

 熱を帯びる自分の体。ビンビンに尖った乳首、膣は羞恥に悦び、すでにぐっしょり濡れきっていた。羞恥心もさることながら、背徳感も凛々香の被虐心をチクチクと刺し責める。勤務時間中、職場で、公僕でありながら、取り締まるべきドラッグを自ら服用して……

(はああああっ……いけないのに……いけないことだらけなのに、どうしてこんなに……こんなに気持ちいいの!)

 瑠偉人に誘われるままに、後戻りできない領域まで来てしまった自分の弱さ。どこかで止めることはできなかったのか……

 だが、時すでに遅し。先日発足した透明犯罪捜査二課、その中心メンバーたる美荻野凛々香捜査官は、不謹慎にも透明ドラッグを飲み、あろうことか警察署内で露出プレイをして悦びに肉を震わせている。それが現実なのだ。

 弱い間接的な自然光程度であれば、影はそれほど目立たない。窓際や照明の付近を避けて、瑠偉人は凛々香の手を引いて進んでゆく。

 通行する同僚との接触を避けるため、ときおり物陰に退避するのだが、その隙に瑠偉人は凛々香の乳房やお尻に手を伸ばす。

「ンッ……フッ……」

(ダメッ……聞こえちゃうっ……)

 間近を過ぎ去っていく同僚たちに、喘ぎ声を聞かれないよう、凛々香は必死で恋人の愛撫に耐えなければならなかった。そしてそれはまた、味わったことのない程の快感だった。
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