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透明犯罪捜査官 美荻野凛々香の非日常
第5章 ―美荻野凛々香の非日常―
 ガクッガクガクッ……

 凛々香の膝が笑う。押さえ込もうとすればするほど快感の内圧は大きくなってゆく。触れ合う肌の感触からして瑠偉人は凛々香の背中の側から手を回しているのだろう。

(瑠偉人……も、もう……ダメ……許してぇっ……)

 限界だ、と思ったそのとき、不意に凛々香は自分の体が浮き上がるのを感じた。瑠偉人が凛々香の両脚に腕を回し、持ち上げたのだ。

(ええっ……? な、何をするの!)

 子供がオシッコをさせられるような大股開きのポーズで抱えられ、身動きできないまま凛々香は宙を前進する。その生い茂った陰毛、湿り気を帯びた秘所の割れ目が酒倉の脂ぎった顔の前へと近づいてゆく。

(や……嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!)

 最悪だった。事件のことを抜きにしても、最も嫌悪するタイプの男性。そんな奴の目の前に、自分の一番恥ずかしい所を晒しているなんて! いくら透明だとはいっても耐えられない。

(アアアアアンッ! ダメッ! だめぇえぇぇぇええぇっ!)

 しかし、暴れて逃げることもできない。凛々香はデスクの上に降ろされ、開脚して酒倉に股間についている全てを見せつけるような格好にされてしまった。

 恐るべきは透明ドラッグのカモフラージュ能力か。ここまで接近していても酒倉はまるで気づいた風もなく、凛々香の女性器の前で、じっと座って担当者の帰りを待っている。毒づくネタも尽きたらしい。眼鏡をかけなおしてからは無言のままだ。

(匂い……匂いで気づかれたりはしないかしら……)

 ヒクヒクと動いた酒倉の団子鼻を見て凛々香はそう思った。

 とにかく気が気ではない。今はよくても、このままもし時間が経って薬が切れでもしたら……。いったい自分はどんな姿をこの好色爺の目の前に曝してしまうことになるのか。

(瑠偉人……瑠偉人はちゃんとわかってるの? わかっているよね?)

 ここまできたらパートナーを信用する他はない。嫌悪の入り混じった羞恥に耐えるため、凛々香は固く目をつぶった。
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