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君は僕のものだった
第1章 君は僕のものだった
 でも、仕方ないことだろ?
 あの男にだって、別れた妻とのあいだに娘がいたはずなんだ。
 君は知らなかったかも知れないけどね、あの男は、君のお母さんと結婚するために、自分で家庭を壊したんだよ。 
 それなのにあの男は、娘の参観日にはね、ちゃんと、ビデオカメラ片手に参加してたんだ。
 君は、知らなかったよね。
 だってぼくは君にそんな話しなかったもんね。


「ほんとバカだしさぁ、淫乱で、ソレしか頭になくて・・・でも、子供たちのことだけは・・・そりゃ、教育はパパに任せっきりだし、立派な姿も見せてあげられないけど、でも、でも・・・」


 あの男はぼくに理解を示すべきだったと思うんだ。
 ぼくが、君に対して、君が、あの・・・そうだ。
 君の言葉を借りるなら、汚いオヤジ。
 汚い義理のオヤジに犯されてたって知った時のぼくの心境が、どれほど辛いものかということをさ。
 父親という立場の人間ならさ。


「お願い笑わないで・・・。笑わないで、最後まで聞いて。わたしほんとにね、子供たちのことだけはね」


 考えれば分かることだろ?
 どれほど腹が立つか。


「あの子たちのことだけは、愛すことができるの。マジで。あの子たちが幸せになれるなら、わたしはどーなってもいいと思えるっていうか・・・こんなわたしにね、あの子たちはね、ママーッ!つって、抱きついてきて、すきすきーってしてくれんの。こんな最低な母親なのにだよ」


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