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君は僕のものだった
第1章 君は僕のものだった
結局ぼくは、あの女以上に、君のことを憎んでいたのかも知れない。
君になりたいのになれなくて。
君を愛したいのに愛せなくて。
そして、家族になりたいのに、なれなかった。
あの女も、結局、殺せなかった。
そうだ。
ぼくはね、こないだ、話をするためにね。
すごく大事な話をするために。
あの女に会いに、この部屋を訪れたんだ。
話の最中だったかな。
あの女がさ、ぼくのからだに触れたんだ。
しばらく見ないうちにすっかり年老いた手でさ、ぼくの、ズボンの上から・・・。
ぼくはもう、衝動を抑えられなかった。
腹に包丁を突き立てるところまでは。
・・・そこまでは、できたんだよ?
あぁ、確かにあの日は寒かったな。
あの女は散々逃げ惑ってさ。
最後、息を切らせて畳の上に転がったんだ。
石油ストーブに火柱が上がってた。
酷い臭いだったよ。
だから、換気のために窓を開けたんだ。
そうしたら突然あの女が苦しみだして。
すごい顔だった。唸り声もさ。
何が起きたのか分からなかったけど、いい気味だと思って笑っちゃったよ。
あぁ、確かにぼくは、フキンシンな笑いが大好きかも知れない。
でもさぁ・・・。
そんなときに限って、あの女は母親の顔をするんだ。
ぼくの名前を呼んで、たすけて、なんて、言うんだ。
参っちゃうだろ?
だからぼくは結局、最後までいい息子を演じてしまった。
あの女が動かなくなるのを黙って見守ってあげたんだ。
ぼくにはそれしかできなかった。
情けないよね。
こんなに憎んでいるのに、それしかできなかった。
「1度くらいは会ってみたいって思ってるかな・・・とか、心配してたから。でも、さっきの言葉聞いて安心した。ありがとう。ほんとうに・・・」
君になりたいのになれなくて。
君を愛したいのに愛せなくて。
そして、家族になりたいのに、なれなかった。
あの女も、結局、殺せなかった。
そうだ。
ぼくはね、こないだ、話をするためにね。
すごく大事な話をするために。
あの女に会いに、この部屋を訪れたんだ。
話の最中だったかな。
あの女がさ、ぼくのからだに触れたんだ。
しばらく見ないうちにすっかり年老いた手でさ、ぼくの、ズボンの上から・・・。
ぼくはもう、衝動を抑えられなかった。
腹に包丁を突き立てるところまでは。
・・・そこまでは、できたんだよ?
あぁ、確かにあの日は寒かったな。
あの女は散々逃げ惑ってさ。
最後、息を切らせて畳の上に転がったんだ。
石油ストーブに火柱が上がってた。
酷い臭いだったよ。
だから、換気のために窓を開けたんだ。
そうしたら突然あの女が苦しみだして。
すごい顔だった。唸り声もさ。
何が起きたのか分からなかったけど、いい気味だと思って笑っちゃったよ。
あぁ、確かにぼくは、フキンシンな笑いが大好きかも知れない。
でもさぁ・・・。
そんなときに限って、あの女は母親の顔をするんだ。
ぼくの名前を呼んで、たすけて、なんて、言うんだ。
参っちゃうだろ?
だからぼくは結局、最後までいい息子を演じてしまった。
あの女が動かなくなるのを黙って見守ってあげたんだ。
ぼくにはそれしかできなかった。
情けないよね。
こんなに憎んでいるのに、それしかできなかった。
「1度くらいは会ってみたいって思ってるかな・・・とか、心配してたから。でも、さっきの言葉聞いて安心した。ありがとう。ほんとうに・・・」