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君は僕のものだった
第1章 君は僕のものだった
「わたしは今でも、ずっと、1日でも、忘れたことなんて、なかったよ。どれだけパパに好きだとか愛してるって言ってもらっても、汚いオヤジに抱かれても、子供たちがいても、ずっと、心の中から消えることはなくて、憎みたくても憎めないし、家族になりたいのになれなくて、でも、でも、でも・・・」


 いまこうして、腹のなかに、あのヘンタイの子か、もしくはまったく誰かべつの子か、なんなのかわからない命を宿している君は・・・・。


「いまもずっと、10歳のときはじめてエッチしてから、ううん、そのまえからずっと、ずっと・・・」


 君が18歳のとき、ぼくが最後の理性をふりしぼって幸せを願った、ぼくの君は・・・。


「むかし言ったことがあったよね。今もそれと同じ、ずーっと同じ。わたしはずっと、今でも、ずっと・・・」


 君の幸せを願うぼくの幸せを願った、君の優しさ、に見せかけた執着心が、依存心が、ぼくの責任が、それだけじゃない色んなものに縛られてる君は・・・。


「それこそ・・・生まれた時からずっと、お兄ちゃんのことが好きで好きでたまらなくて、どうしようもなくて、でも一緒に生きたらもっと苦しくなるって分かってたからこうして離れて生きていて、苦しいってわかってたけどやっぱ苦しくて、ねぇ、知ってた?わたしね、きのう、お兄ちゃんから電話があったとき・・・お葬式の時もそうだったけど・・・会えるって分かって、死ぬほど嬉しかったんだよ。それにね、さっきも言った・・・オヤジたちにめちゃくちゃにされたときよりね、ずっと楽にね、息ができたんだよ。声を聞いたときにさ、今だってそうなんだよ。だからといって、わたしにはパパも子供たちもいるから、どうにもしないしならないけど、でも、でも、でも・・・」


 いろんな連鎖を背負ってる君は・・・。


「・・・黙ってないでなんか言ってよ。お願い、ほんとの気持ちで、わたしになんか言ってよ。言ってくれたらそれでいいから。ずっと気になってただけのことで、べつに、昼前には帰るし、片付けが終わらなかったらパパに言って金出してもらうからさ、だから、手を止めて、今だけは手を止めて、わたしを見てさ、返事してよ。おねがい、それだけでいいから。おねがい・・・」


 うまれるまえからよごれていた君は・・・・。


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