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君は僕のものだった
第1章 君は僕のものだった
 ぼくが君と家族でなければ、君のお母さんを殺してしまいたいなんて、考えずに済んだのかな、とか。


「・・・あぁ、笑った。なんだ。もう、人が悪いなぁ!人っていうか、間?あー、嬉しいなぁ。ちょっとは冗談にできる日がきたってことかな。やれやれ、遠い道のりだね」


 愛想笑いを浮かべたぼくを見て君はあからさまにホッとしてるけどさ。
 ぼくは本気でね、考えていたんだよ。
 君は知らなかったよね。


「わたしね、思うんだー。もしね、いつか、あのことが笑い話に出来る日がきたらさ、そのときわたしたち、ようやくほんとの家族になれるんじゃないかってさ」


 ねぇ、覚えてる?
 君がぼくに後ろから写真立てを投げつけてきた、あの日のことだよ。


「はやくそんな日が来ないかなーって・・・ごめんね。シケた空気にしてんのはわたしのほうだね」


 君がぼくの職場にまで来た、あの日。
 覚えてる?


「あのね・・・いや、マジで、変な意味じゃないんだけどさ・・・ずっと聞きたかったことがあるんだ。聞いてもいい?」


 あの晩、ぼくは君に言ったと思うけど。
 ぼくは、本当に嬉しかったんだ。
 本当に本当に、嬉しかったんだ。
 でもね。


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