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君は僕のものだった
第1章 君は僕のものだった
どうして?なんて、君は、聞くけれど。
ぼくにだって、分からないことだらけだよ。
でもね、ひとつ言えることがある。
じつはね。
ぼくもね。
君のお母さんに、10歳のとき・・・。
ううん、もっとまえからだ。
そうだ、保育園に通ってた頃からかなぁ。
「・・・わからないって?そっかぁ。わかんないもんは仕方ないよね。なんか変なこと聞いちゃってごめんねー。あー!空気悪いよね!窓開けるね。わー、さむー。部屋んなかとこんだけ温度差あれば、そりゃ心臓も驚いて血管詰まっちゃうよねぇ。お母さん、死んだとききっと、さむっ!って思ったんだろうなぁ」
君はなにも知らなかったよね。
じぶんだけだと思ってたろ?
でもね。
ぼくが君に触るときはね、そのまえにね、ぼくも、君のお母さん・・・あの女に、触られてたんだよ。
「ひとりっきりでさぁ。こーんな、ゴミ屋敷みたいな部屋でさぁ。さむっ!って思った瞬間に・・・」
ごめんね。
君はなにも悪くないのに。
ぼくは、ぼくひとりが汚れていくのは、耐えられなかったんだ。
だからぼくは、君に同じことをしたんだ。
ほんとのところ、それ以外の理由は、なにもないのかも知れない。
「ポックリ、死んじゃったんだね。孫の顔も見ずに・・・。なんという、諸行無常、あぁ、世の中は無情」
しいて言うならば、ぼくはあるとき、猛烈にうらやましくなったんだ。
ぼくには誰もいなかったのに、君には、ぼくがいたんだ。
それに気付いたとき、ぼくは、君がどうしようもなく、うらやましくなった。
「え?諸行無常は意味が違うって?そっかー。帰ってからパパに詳しく聞くわー。ああ見えて国語のセンセーだったからさー。なんて・・・今考えたらヤバイよねぇ。教師が教え子に手を出すとか普通に犯罪じゃん」
夜中にトイレに一緒に行ってもらう。
学校であった話を聞いてもらう。
成績が悪くても怒るだけじゃなくて勉強を教えてもらう。
公園で一緒に遊んでもらう。
膝の上で絵本を読んでもらう。
泣いてるとき抱きしめてもらう。
だいすきだよって言ってもらう。
君は、ぼくが小さい頃にして欲しかったことを、すべて、ぼくにしてもらってたんだから。
ぼくにだって、分からないことだらけだよ。
でもね、ひとつ言えることがある。
じつはね。
ぼくもね。
君のお母さんに、10歳のとき・・・。
ううん、もっとまえからだ。
そうだ、保育園に通ってた頃からかなぁ。
「・・・わからないって?そっかぁ。わかんないもんは仕方ないよね。なんか変なこと聞いちゃってごめんねー。あー!空気悪いよね!窓開けるね。わー、さむー。部屋んなかとこんだけ温度差あれば、そりゃ心臓も驚いて血管詰まっちゃうよねぇ。お母さん、死んだとききっと、さむっ!って思ったんだろうなぁ」
君はなにも知らなかったよね。
じぶんだけだと思ってたろ?
でもね。
ぼくが君に触るときはね、そのまえにね、ぼくも、君のお母さん・・・あの女に、触られてたんだよ。
「ひとりっきりでさぁ。こーんな、ゴミ屋敷みたいな部屋でさぁ。さむっ!って思った瞬間に・・・」
ごめんね。
君はなにも悪くないのに。
ぼくは、ぼくひとりが汚れていくのは、耐えられなかったんだ。
だからぼくは、君に同じことをしたんだ。
ほんとのところ、それ以外の理由は、なにもないのかも知れない。
「ポックリ、死んじゃったんだね。孫の顔も見ずに・・・。なんという、諸行無常、あぁ、世の中は無情」
しいて言うならば、ぼくはあるとき、猛烈にうらやましくなったんだ。
ぼくには誰もいなかったのに、君には、ぼくがいたんだ。
それに気付いたとき、ぼくは、君がどうしようもなく、うらやましくなった。
「え?諸行無常は意味が違うって?そっかー。帰ってからパパに詳しく聞くわー。ああ見えて国語のセンセーだったからさー。なんて・・・今考えたらヤバイよねぇ。教師が教え子に手を出すとか普通に犯罪じゃん」
夜中にトイレに一緒に行ってもらう。
学校であった話を聞いてもらう。
成績が悪くても怒るだけじゃなくて勉強を教えてもらう。
公園で一緒に遊んでもらう。
膝の上で絵本を読んでもらう。
泣いてるとき抱きしめてもらう。
だいすきだよって言ってもらう。
君は、ぼくが小さい頃にして欲しかったことを、すべて、ぼくにしてもらってたんだから。