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お慕い申し上げて居ります
第1章 再会
職員室は6階にある。まだ5階だ。あと1階上らねばならない。たかがあと1階とはいえ、病み上がりならぬ受験生上がりの体には大分きついものがある。
(疲れた...って、あれっ?!)
朱里が驚いて向けた視線の先には、受験生時代によく相談に乗ってもらい、そして密かに好意を寄せていた中田先生がいた。
「中田先生...っお久しぶりです。こんにちは」
「おお、こんにちは。右京大受けたんだよね。どうだった?」
「お蔭様で合格しました」
「おお、良かったね!僕の後輩になったってことか」
「11年も間空いてますけれど、ね。ふふ」
「うん、まあ... でも嬉しいな」
「私は勿論嬉しいですが。先生が嬉しいってどういうことですかっ」
ちょっと照れて、強めに返答した。
「僕、教師になってやっと1年経ったところだから、教え子がそうやって喜ぶのを見るのって初めてなんだよ。それに...」
「?」
「いや、何でもない。...」
「...」
この、互いにお喋りが下手な感じ。でも悪くない。中田がまた言葉を発するのを朱里は待った。
先生はちょっと朱里から目線を外して言う。
「もし嫌だったら断ってくれていいんだけど....
...良かったら...さ、アドレス知りたいなって...」
こういうことに慣れない中田がもじもじして言う。
朱里は驚いた。
ーー何という好機だ!
「全然構いません!嬉しいです」
体裁で言っているのではなく、憧れのひとが自ら自分に関わってくれるのが、朱里は本当にとても嬉しかったのだ。
中田に付箋を渡され、そこにアドレスを書いて付箋を返す。
その間中田が少しだけ朱里の体に近寄ってきて、心臓が飛び出そうになっていたのは秘密。
(疲れた...って、あれっ?!)
朱里が驚いて向けた視線の先には、受験生時代によく相談に乗ってもらい、そして密かに好意を寄せていた中田先生がいた。
「中田先生...っお久しぶりです。こんにちは」
「おお、こんにちは。右京大受けたんだよね。どうだった?」
「お蔭様で合格しました」
「おお、良かったね!僕の後輩になったってことか」
「11年も間空いてますけれど、ね。ふふ」
「うん、まあ... でも嬉しいな」
「私は勿論嬉しいですが。先生が嬉しいってどういうことですかっ」
ちょっと照れて、強めに返答した。
「僕、教師になってやっと1年経ったところだから、教え子がそうやって喜ぶのを見るのって初めてなんだよ。それに...」
「?」
「いや、何でもない。...」
「...」
この、互いにお喋りが下手な感じ。でも悪くない。中田がまた言葉を発するのを朱里は待った。
先生はちょっと朱里から目線を外して言う。
「もし嫌だったら断ってくれていいんだけど....
...良かったら...さ、アドレス知りたいなって...」
こういうことに慣れない中田がもじもじして言う。
朱里は驚いた。
ーー何という好機だ!
「全然構いません!嬉しいです」
体裁で言っているのではなく、憧れのひとが自ら自分に関わってくれるのが、朱里は本当にとても嬉しかったのだ。
中田に付箋を渡され、そこにアドレスを書いて付箋を返す。
その間中田が少しだけ朱里の体に近寄ってきて、心臓が飛び出そうになっていたのは秘密。