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琥珀色に染まるとき
第8章 慈しめば涙してⅡ

 太ももを這うその手を制すと、反対に掴み返される。

「どんな顔ならいいんだよ」

 そんなことを言いながら肩を揺らす。その無防備な笑い方に、かえって胸を締めつけられた。

「……ぜんぶ」
「ん?」

 どういう意味だ、と言いたげに首をかしげる西嶋に向け、今できる精一杯の柔らかな笑顔を返す。
 それが予想外だったのか、ヘーゼルの瞳に戸惑いの色が浮かび上がる。くじけそうになる気持ちを押しとどめ、涼子は揺れるその瞳を見据えた。

「全部よ。どんな西嶋さんでも……もっと、見せてほしい」

――あなたの心の中にある孤独を、隠さないで。

 口にしなかった想いさえ、その心に届くよう願った。

「…………」

 西嶋は微動だにしない。
 しんとした部屋、二人の間には沈黙だけが流れる。おそらく数秒のことだったが、数分にも、数時間にも感じられた。
 大胆なことを言いすぎたかと反省しかけたとき、はっ、と吐息のような笑い声が小さく響いた。

「……まいったな」

 発せられたその言葉の意味を考える前に、身体を抱きかかえられた。背を向けて彼のひざの上に座らされ、巻いていたバスタオルを剥ぎ取られてしまう。

「あっ!」

 いきなり後ろから両胸を鷲掴みにされた。ふくらみの中心をこすりながら揉み上げられ、首の後ろには濡れた唇が吸いついてくる。その感触を知ってしまった身体は、すぐに彼を求めて疼き始めた。
 肩を熱い舌が這うと背筋がぞわぞわと震え、秘密の泉が熟れて潤っていくのがわかる。股を割る彼の左ももが、秘部とこすれ合うようにわざとらしく動く。かすかに聞こえる水音で、彼の脚を自らの蜜で汚していることを実感させられた。

「や、だっ……」

 彼のバスタオルはいつの間にはだけたのだろう。だがそんなことを疑問に思っている場合ではない。

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