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琥珀色に染まるとき
第8章 慈しめば涙してⅡ

ゆっくりとソファーに歩み寄り、あけられたスペースに腰かければ右側にぬくもりを感じた。自然と身体が引き寄せられるように傾き、その肩にもたれる。
西嶋はなにも言わず、キャップを外したままのペットボトルを差し出してくれる。
「……ありがとうございます」
受け取り、ひかえめに喉の渇きを癒して、返す。残りをごくごくと飲み干す彼の喉仏が上下するさまを、ひっそりと寄り添いながら眺める。
細めた目をこちらに向けたままペットボトルから口を離した彼は、ふっと口角を上げた。
「なんだよ」
「……やっぱり仕事してるときとは別人」
「いやお前、人のこと言えないだろう」
そう返した西嶋は、愉しそうにくつくつと笑い出す。
「なによ、そんなことないわ」
「そんなことあるんだよ。……ははっ」
耐えかねて声を出して笑うその姿がなんだか愛おしく思えて、さらりと“お前”と呼ばれていることにも、自分が敬語を使わなかったことにも、違和感を覚えなかった。
「涼子と二人きりでいるときくらいは素も出るさ」
「そうなの。……ふうん」
「だから、こんな格好してたら危ないよ」
「え?」
あらわになっている太ももをそっと掴まれ、いやらしい手つきで撫でられる。
「んっ」
敏感な身体はやわい刺激にも素直に反応し、目覚める。甘い疼きが背筋をぞくぞくと這い上がってくる。逃れようとしても、身体を抱えこむようにして腰に回された彼の左腕に抗えない。一方、右手はバスタオルの中に侵入しようと太ももの上を滑る。
漏れそうな声を必死に抑えながら抗議のまなざしを向けたが、彼は口元に薄い笑みを浮かべるだけで、やめてくれる気配はない。
「なんて顔してるの……」
思わず口に出すと、彼は片方の口角をわずかに上げる。その妙に色気のある顔を前にすれば、このまま押し倒されてしまうのではないかと予感せずにはいられない。

