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琥珀色に染まるとき
第8章 慈しめば涙してⅡ

 こちらの様子を窺いながらゆっくりと事を進める余裕がなくなった彼の、すっかり強引さを増した動きに容赦なく翻弄される。
 彼のすべてを知りたいと願ったのはたしかだが、こんな一面を見せろと言ったわけではない。しかし、すでに理性が壊れているのはこちらも同じだ。

「いやっ……ん、あっ、あぁ……」
「涼子」

 耳、うなじ、肩に何度もキスしながら名前を呼ぶ彼の声色は、やはりどこか余裕なさげだ。どうしてもその表情を確認したい衝動に駆られる。

「西嶋さんっ……顔、見たいの」
「……わかったよ」

 しつこい懇願に根負けしたとでも言うような、ため息混じりの抑えた声が聞こえた。直後、少し強引に身体を横抱きにされ、そのままベッドまで連れていかれた。
 シーツの上に押しつけるようにして降ろされ、激しく唇を奪われる。

「んっ、んん」

 舌を絡ませる濃厚なキスからやっと解放されて見上げると、そこには切ない表情で息を荒げる男の顔があった。

「西嶋さん……」

 その名を呼ぶと、首筋に噛みつくように口づけられる。これまでより乱暴な唇、舌遣い、荒い吐息。まるで吸血鬼に抱きしめられながら食されていくようだ。
 彼は、身体中にキスを落としながらあっという間に茂みの奥にたどりつくと、濡れそぼった割れ目に舌を這わせ、音を立てて蜜を吸い、それから弱い芯をひたすらに攻め続けた。

「あっ、や、あぁっ」

 視界はすぐに白くぼやけ、涼子は、強い絶頂感にまぶたをきつく閉じた――。

 まだ息が整わない中、ぼんやりと目を開くと、上体を起こしてこちらをじっと見下ろす男がいた。その顔は、ほんのりと色を帯びているように見える。

「西嶋さん」

 もう一度名前を呼べば、ああ、と彼は乾いた返事をする。その端正な顔を苦く歪ませて。

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