この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
琥珀色に染まるとき
第10章 マホガニー色の幻

 彼の唇が、音を立てながら首筋、鎖骨に下りてくる。そのまま胸には下りず、肩に一つ、腕に一つ、二つ……優しい口づけを落としていく。そのたびに、涼子は小さな艶声を漏らす。
 手を掴まれると、手首の裏、手のひら、指先に至るまで優しいキスが降り続けた。壊れものに触れるよう、丁寧に、大切に。

 熱を帯びた視線にとらえられながら、彼の舌が自分の指に絡められるさまを眺める。まるですべての性感帯がそこに集中したかのように、その穏やかな愛撫に翻弄される。

「はぁ……っ、ん……」

 次第にたまらなくなってきて、もてあそばれている左手を引っこめようとするも、叶わない。それならば、右側の枕元に置かれている彼の手を噛んでやろうと思った。人差し指に歯を立ててみる。

「痛いよ」

 そう言いながらも、まったく痛がるそぶりを見せない彼は、くすくすと笑う。なんだか悔しくなり、その余裕の表情を崩したい衝動に駆られた。
 骨ばった綺麗な五本のうち、一番長い中指を口に含み、舌でなぶる。一瞬それが舌の上でぴくりと動いたが、構わず舐め続けた。しばらく口淫のごとく長い指を堪能していると、掴まれていた左手が解放された。

「……おい。こら、涼子」

 低いかすれ声に呼ばれ、愛撫を続けながら目線だけ彼へ移せば、視界に映ったのは悩ましい微笑。思惑どおりの反応に満足し、お返しよ、という気持ちを込めて意地悪く微笑んでみせる。

「ばかだな……」

 彼はそれだけ呟くと、妖しげに微笑んだ。淡い明かりの中に浮かび上がるのは、底なしの欲望に染まった男の瞳。
 今から、この男に抱かれる――。
 その瞳に映る自分はきっと、色香を振りまく女の顔をしているに違いない。涼子はそう思った。

/429ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ