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琥珀色に染まるとき
第11章 BETWEEN THE SHEETS

まさかと思い、聞いてみる。
「本当に言ったのか?」
「えっ……さっきの嘘だったの?」
「言ったのか」
「ち、違う。言ってないわ」
首を何度も左右に振って否定されたが、その固すぎる声色ですぐに図星だとわかった。彼女は真面目すぎて嘘をつくのが苦手なのだ。
「へえ。夢の中で言ってくれたんだな」
今、鏡で自分の顔を見たら気分が悪くなるだろう。きっとひどくにやついているに違いない。
そのにやり顔を咎めるためか、真っ赤な顔で睨んでくる愛しい女。化粧をしていないせいか、少し幼く見える。それでもふだんと大差がないのは、いつも薄化粧だからだろう。
「そうかそうか。涼子はいい子だな」
頭を撫でながら褒めてやると、再び首元に顔をうずめてきた彼女に、ぎゅっと抱きつかれた。こんな可愛らしい姿、ほかの誰にも見せるなよ――そんな子供じみた気持ちを込め、きつく抱き返す。
「昨日、西嶋さんが、言ってくれたから……」
くぐもった声が胸に響いた。
「ん?」
「だから、私も……」
密着した胸から熱い鼓動が伝わってくる。ふと、顔を上げた彼女が潤んだ瞳で見つめてきた。迷いのないその黒い瞳に、言葉を失う。
その艶やかな唇がなにかを言おうとして小さく息を吸った瞬間、得体の知れない激情がこみ上げ、心を鷲掴みにした。
気づけばそこに唇を重ねていた。その激情に突き動かされるように。
言い終わるまで待ってやればよかった――そんな後悔も一瞬で消える。なにしろ身体が勝手に動いてしまうのだ。細い身体を抱きしめたままで仰向けに倒し、覆いかぶさるようにして唇を貪る。
「んっ……う、んん……」
彼女はすぐに甘やかな声を漏らし始めた。その艶声は脳天に響いて全身を駆けめぐり、媚薬のごとく神経を狂わせる。

