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琥珀色に染まるとき
第11章 BETWEEN THE SHEETS

白くて形のいい額にそっと口づける。唇を離して観察していると、長いまつげが揺れた。ゆっくりとまぶたが開かれる。
目覚めた涼子は、まばたきもせずに凝視してきた。今にも覆いかぶさってきそうな男に驚いたのだろうか。
「おはよう」
優しく微笑みながら声をかけてやれば、おはようございます、となぜか頬を染めて返される。二度もベッドをともにした男相手に、なにを今さら照れているのだろう。
「起きてたの?」
怪訝な表情で尋ねられた。それはつまり、寝顔を見ていたのか、という意味か。景仁は意地悪く笑んでみせた。
「え、やだ……」
涼子は眉をひそめて言うと、首元に顔をうずめてきた。そうだ、この反応を待っていたのだ、と心の中でほくそ笑む。
「別にいいじゃないか。すっぴんも綺麗だよ」
「すっぴんとか……そういう問題じゃないの」
胸にうずまる頭がもぞもぞと左右に揺れる。恥じらいに震える細い身体を抱きしめ、その小さな頭に唇を寄せる。
「じゃあどういう問題?」
「……いつから起きてたの」
「ついさっき」
「ふうん。……ねえ」
「ん?」
「私、寝言とか言ってなかった?」
「寝言?」
そんなことはどうでもいいじゃないか――そう言って尻でも撫でまわしてやろうと思ったが、やめた。真剣な表情の彼女に少しだけ意地悪したくなり、真顔で答える。
「ああ。言ってたかな」
「えっ、なんて?」
「景仁さん、大好き、って」
その一撃があまりにも強力だったのか、涼子は目を見開いて硬直した。当然ながら、実際にはそんな台詞は聞いていない。彼女は実に静かに眠っていたのだから。
ふだんは名前のとおり、涼しい顔をしてクールなキャラを演じているのだから、どうせすぐ得意のポーカーフェイスに戻るだろう。そう思ったが、彼女はまばたきしながらなおも固まり続けている。

