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琥珀色に染まるとき
第23章 いつか無色透明の愛が

「俺は母親似だと思うんだが、気づかなかったか」
映し出されたその写真は、グラスゴーに降り立った日に訪れた美術館で撮影したものだ。涼子の隣には、まさに今横にいる人と同じ笑みを浮かべるスコティッシュが写っている。
「昨日の午後二時頃……こっちは朝か。とても素敵な女の子と出会った、と母がメールをよこしたんだ。それに添付されていたのがこの写真。俺は目玉が飛び出るほど驚いて、急いでグラスゴー行きの航空券を手配して、夜の便に乗ったというわけ」
「目玉が飛び出るのはこっちよ……」
「俺はお前がここにいることさえ知らなかったんだからな。こんなふうに自分の母親とお前が並んで笑っている状況なんて想像もしなかったんだぞ。心臓が飛び出てもおかしくない」
彼は苦笑し、続けた。
「すぐに母に教えてやったよ。その子の名前はリョウコといって、とても大事な人だと。そしたらなんて返してきたと思う?」
まったく予想がつかずに黙っていると、思わぬ言葉が投げられた。
「そんな予感がしていた、だとさ」
「え……」
「お前の顔を見たとき、いつかどこかでまた会うことになると、無性に感じたらしい」
ルルを見つめると、彼女は柔らかく微笑んだ。
「言ったでしょ? 前世は姉妹だって」
偶然の出会いが繋いだ、不思議な縁。そのことに戸惑いながらも、涼子は心のどこかで妙に納得した気持ちを抱いていた。

