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琥珀色に染まるとき
第23章 いつか無色透明の愛が

***
それから、長旅で疲れているであろう西嶋のことを考えて、彼の実家に帰ることになった。
グラスゴー北西部に位置する町にある、閑静な住宅街の一角。緑に囲まれた、煉瓦色の三角屋根とタイル壁がお洒落な平屋に、直和とルルはひっそりと暮らしていた。
夜はルルの手料理をご馳走になり、直人のお気に入りのウイスキーを飲ませてもらった。
西嶋の店の様子や彼の働きぶりを教えると、直人はグラスを傾けながら、いくつものしわが刻まれたその顔に品のある笑みを浮かべ、そうかそうか、と嬉しそうに聞いてくれた。
シャワーを借りたあと、涼子はショーツだけを身につけ、素肌の上からナイトガウンを羽織った。先に就寝した両親を起こしてしまわないよう、静かにゲスト用のベッドルームに入る。
簡単にスキンケアを済ませ、広いベッドに横たわっていると、背後で人の気配がした。かすかにベッドが軋む。石鹸の香りを漂わせながらそばに身体を横たえた西嶋が、すまん、と苦笑をこぼした。
「急に家に来ることになって疲れただろ」
優しく囁かれ、後ろから抱きしめられる。シャワーで火照った肌のぬくもりを背中に感じた。耳にかかる熱い吐息が、甘やかな空気を誘っているようにも思える。
「やっぱり緊張はしたわ。でも、嬉しいほうが大きい」
「両親にまで一目惚れされて、もう逃げられないな」
「いいわよ、逃げないから。逃げるわけないでしょ」
強調して言い返せば、彼がふっと口角を上げる気配がして、涼子も頬をゆるめた。
そのままぼんやりしていると、不意に、柔らかな唇がうなじに押しつけられた。ガウンの襟元を開かれて、肩からするりと下ろされる。
口づけはそれを追うように、肩、背中、と音を立てながら下りていく。背後からは色めいた空気が漂い、なにが始まろうとしているのか手に取るようにわかる。

