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琥珀色に染まるとき
第23章 いつか無色透明の愛が

声を禁じられたその夜、彼はいつもより性急に、激しく求めてきた。最初から最後まで、涼子は目を閉じなかった。彼が秘部を貪っている間も、覆いかぶさってきてからもずっと、彼から目をそらさなかった。
「涼子……っ、お前の目の前にいるのは、誰だ」
「景仁、さん……っ」
「お前の中にいるのは?」
「かげ、ひとっ……んん、あっ」
囁きを交わしながらも、喘ぎ声を抑えるのに必死だった。それ以上続けられていたら、きっと窒息していただろう。
彼の情けなく歪む表情を見つめ、歯を食いしばって嬌声を押し殺しながら、淫らな蜜音に溺れ、脚を絡ませ、二人で競い合うように頂へ昇りつめた――。
乱れたシーツの上で、熱を発する互いの身体を隙間なく寄せる。荒い呼吸を繰り返しながら、健闘を称え合うかのごとく優しいキスの雨を降らせた。
「景仁さん……好き」
「ああ。俺もだ」
「好きよ、大好き……」
今なら幸福な運命を信じられるかもしれないと、溶かされた頭の中で涼子は思った。
彼の前では身にまとうものも、恥じらいも、ときには言葉さえ、すべてが無意味になる。
どんなに美しい綺麗事も霞むほどの真実。この先なにがあっても護りたい真実。
――愛してる。
まだこの口から伝えることができていない、最上級の愛の言葉を、彼の腕の中で、彼の耳元で、囁ける日がきっと来るだろう。

