この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
琥珀色に染まるとき
第26章 琥珀色に染まるとき

「さっきね、ほんの少しだけ未来を見たの」
「未来?」

 彼は一瞬目を見開き、タオルで手を拭うと、その長身を前に傾けてカウンターの上に両手をつく。目線の高さを涼子とほぼ同じにすると、口を開いた。

「なにが見えたんだ」
「都合のいい妄想かもしれないけど、私の一番好きな光景だった」
「そうか」

 驚いた様子で呟いた彼は、それからしつこく追求してくることはなく、穏やかな表情を浮かべて遠くを眺める仕草をしてみせた。

「どんな光景かな。俺も見てみたいよ」
「今も見えているわよ」
「そうなのか。ふむ」

 後ろを向いた彼は、バックバーを端から端まで眺めて思案している。

「ふふふ。違うわ」

 その広い背中に向かって投げる。初めて想いを口にしたあの雨の夜から、ただ一つ変わらない、いや、これからもっと色濃くなっていくであろう愛を。

「カウンターを挟んで、ここから見る、あなた」

 振り返った愛しいその人に、もう一度、涼子はとびきりの笑顔を見せて言った。

「あなたよ。景仁さん」

 しばらく黙ってこちらを見ていた彼は、ふっと口角を上げた。カウンター内から出てゆっくりと歩み寄ってくる。目を合わせながら身をかがめ、囁いた。

「俺は、すぐ近くで見るお前のほうがいいな」

/429ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ