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戦国ラブドール
第5章 壊れたドール
掴めば消えてしまう雪のような、白い肌。さらりと流れる長い黒髪は、結わずにそのまま下ろしている。だがだらしなそうではなく、中性的な彼の面持ちには似合っていた。
村にいた大人の男は皆、身振りも雑で叩いても壊れそうにない丈夫さを備えている。だが彼は、少しでも風を吹かせれば落ちる秋の葉のような儚さを湛えていた。
「あ、の……わたし」
そして小夜の感じた印象は、間違いなかった。小夜が戸惑いながらも口を開いた瞬間、彼の方が倒れたのだ。
「え、ええっ!? だ、誰か……誰かー!」
胸に抱いた小さなときめきは一瞬で飛び散り、小夜は慌てて人を呼ぶ。他人の心配をしておきながら、自分が倒れてしまった男。小夜がその男の名前を知るのは、駆けつけた小姓達と共に彼の部屋へ運んだ後だった。
一方、大海はまず吉継の屋敷へ向かっていた。
「吉継、今大丈夫か――」
だが顔を出したのは、眉間に皺を寄せた、美しいが無愛想な男――書庫で出会った、佐吉という名の男だった。
「もう日も暮れるというのに、何の用だ。侍女の仕事はどうしたんだ」