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戦国ラブドール
第5章 壊れたドール
「さっきの一手は、最善だったね。あそこ以外の場所に打てば、もう終わりだったよ。次はどうする?」
「次は――」
「次はここかな。ああ、でも、これ……」
「お前がいちいち口を挟むな! 俺が吉継と勝負してるんだ」
「佐吉、うるさい。僕は大海の意見を聞きたいんだから、黙ってて」
邪険にした言い方に、佐吉はふてくされ舌打ちする。だが吉継は全く気にかけず、大海に笑みを見せた。
「何か思うところがありそうだけど、何?」
「いや……ただ、どこに打っても、もう詰みだなって。どんなに長引かせても、あと三手も打てばおしまいだ」
「へぇ、よく分かるね。そうだね、最善の手を打っても、残りは最大で後三手。どこに打っても、投了を長引かせる事しかできないよ。佐吉ってば弱くって、すぐ終わっちゃうんだ」
「……佐吉が弱いんじゃなくて、あんたが強すぎるんじゃないのかい?」
「さて、どうかな。なんなら一局、どう?」
吉継は片目をつぶって茶目っ気ある表情を見せる。そして帰りたくない大海にとっては、ちょうどいい提案である。
「いいよ、あたしもやってみたいと思ってたところだ」