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戦国ラブドール
第5章 壊れたドール
 
「重視してほしいのはそこじゃなくて、毎日試合ってところなんだけどね」

「だから、毎日試合したら余計勝てなくなるって言ってるじゃないか」

「ん、さっき聞いた。君が思った以上に単純なのは学習したからもういいよ」

 吉継が何に文句をこぼしているのか分からず、大海は首を傾げる。だが吉継は疑問に答えを寄越す事なく、碁石を片付け始めた。

「何せ僕は人の頭が覗ける男だから。君の事なら何でも分かるよ。たとえば性格の割に意外と伏兵には引っ掛からないとか、たとえ一番効率が良くても汚い手を使うのは嫌いとか」

「そんなの、一緒に見てた佐吉だって分かるだろ」

「後は、実は部屋に戻りたくないと思ってる事とか、妹の事で悩んでるとか」

 唐突に突きつけられた悩みに、大海はしらばっくれる事すら出来ず目を丸くする。吉継はそんな大海の顔色を窺いながらも、淡々と話していった。

「その悩み、空回りなんじゃない? 一人で勝手に暴走してあれこれ悩んでて、実は余計に妹を心配させてるんじゃない? 溜め込んでても、いい方向に流れるとは思えないな」
 
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