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戦国ラブドール
第6章 讒言
「吉継さん、もしかして彼女に惚れてます? 困りますねぇ、本気になられちゃ、私が手を出しにくくなるじゃないですか」
「さあ、どうだろうね。ただ、僕は感じてみたいんだ。縛られる事なく、彼女が生き生きと心を動かす姿を」
「それは私も同意ですが。泣いている女の子よりは、笑っている女の子の方がそそられますからね」
二人は、互いに腹を探り合うよう目を合わせる。同じ近江派と言えど、譲れないものもある。牽制は、沈黙を呼んだ。
「……まあ、僕達がこんな無駄な議論をしても、最終的にどうするか選択するのは彼女だ。変に思い詰めて自害、なんて考えないとも言えないし。妹と話せって言っておいたから、多分大丈夫だとは思うけど」
「彼女の行動原理が妹にあるうちは、多分大丈夫でしょう。聞いた話では妹の方も姉にべったりで、口を開けば姉の話ばかりだそうですよ。衝動的に身投げでもすれば別ですが」
「でもそれは、彼女の弱点にもなる。難しいものだね」
行長は溜め息を吐いて両腕を前に組む。そして重い話題を吹き飛ばすように、軽い口調で言い出した。
「そういえば、大海と言えば……吉継さん、近江の出身ですよね?」