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戦国ラブドール
第6章 讒言
小夜は大海を見上げ、必死に訴える。か弱く守ってやらなければならない妹。そう大海は思っていたが、今の小夜は立派な女だった。
「わたし、守られるだけじゃ嫌。お姉ちゃんが辛い時は、わたしが守ってあげる。それでもどうしようもない時は、二人で一緒に泣こう。だから、一人で抱え込まないで。それが姉妹でしょ?」
「小夜……」
何をしても晴れなかった心の靄が、一瞬にして消えていく。張っていた肩の力が抜けて、大海は小夜へ縋るように抱き付いた。
「……本当、あたしって空回りだね。あんたはこんなにいい子なのに、馬鹿な事ばっかり考えて……ごめん、小夜」
もし、孫六が大海を見捨てたならば。虎之助が止めなければ。吉継が助言しなければ。大海は自分の浅慮に背筋が寒くなると共に、小夜の温もりに涙が溢れる。
自分の身勝手な思い込みで、失っていたかもしれない温かさ。その有り難みを忘れないように、大海は小夜を離さずに一夜を過ごした。
そして、次の日の朝。先に目覚めた大海は、隣で眠る小夜を起こさないよう体を起こす。寝ぼけた頭は新鮮な空気を求め、足を部屋の外へ向ける。襖を開いた、その時だった。