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戦国ラブドール
第6章 讒言
 
「ち、ちょっと待て! その確かめ方、無理があるだろ! あたしが妖婦なら、城から出たくなくて溺れた演技をするはずだ。妖婦でないなら素で溺れちまう、どっちみち溺れちまうんじゃ」

「俺を欺く自信があるとは、なかなか強気だな。だが、魂でぶつかり合えば、ごまかしは利かない。演技かそうでないかは、分かるさ」

 理論的ではないが、男は妙な自信に溢れながら大海に口付ける。少し荒れていて、厚い唇。触れたり離れたりを繰り返しながら、舌が絡んでくる。

「ん……」

 だが、されるがままではならない。この男を溺れさせる事が出来たなら、城から出られるかもしれないのだ。大海は男の背に手を回すと、自ら男を招き入れた。

「――あんた、名前は? 名前も知らないんじゃ、呼びにくいよ」

 喉の奥からねっとりと出てくる、男におもねる声。その気持ち悪さに、大海は自分の声にも関わらず鳥肌が立つ。

「高虎。藤堂高虎だ」

「高虎、か。なんか、どこかで聞いたような名前だね」

「しっかり覚えておけ。この名前は、未来に秀長様随一の家臣として世に馳せるからな」
 
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