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戦国ラブドール
第7章 はじめての共同作業
そして、何よりその名前に、大海は覚えがあった。
「あなたはもしかして……『今孔明』と名高い、あの半兵衛殿ですか?」
「私をそう呼ぶ者は確かにいますが、そのように偉い人間ではありません。半兵衛、と、気軽に呼んでください」
竹中半兵衛。それは過去、難攻不落の稲葉山城を僅か十六人で奪い取った天才軍師である。気軽に、とは言うが、本来気軽に呼べるような人物ではない。だが大海は頷くと、半兵衛へ頭を下げた。
「じゃあ……任せます。あたし一人じゃ、どうしたらいいか分からないんです」
「そうですか、それでは口を挟ませてもらいましょう」
半兵衛は秀長と大海達の間に割って座ると、咳払いする。
「では皆さん、少し状況を整理しましょうか。事の始まりは、どこですか?」
半兵衛という存在には、子飼いはもちろん高虎も頭が上がらない。半兵衛の問いに答えたのは、秀長だった。
「侍女として雇ったこの姉妹が、皆をたぶらかし諍いを呼ぶ妖婦だと情報が入ったのだ。そこで儂は高虎に是非を確かめさせた」
「姉妹は、妖婦だったのですか?」
「いや、潔白だ。しかし諍いの種となるのも、また事実だった」