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戦国ラブドール
第2章 狂宴
「信じられないって、あなたも今からああいう事をするんですよ?」
すると行長は、大海の着物の裾から胸の中へと手を差し入れる。前を開かれ、白い肌が見えれば、行長は耳元で囁いた。
「大丈夫、あなたが他と違って商売女でない事は、皆知っとります。丁寧に、優しくしてあげますから」
行長の薄めの唇が、頬を伝い大海に迫る。いつ嫁に出てもおかしくのない大海は、未来の旦那のために純潔を貫いていた。だがそれは、顔と名前しか知らない男に奪われようとしている。悔しさに歯を食いしばりながら、大海は穢れの瞬間を覚悟した。
「ちょっと待て」
だが、三人の中で最も大柄な男が、行長の首根を掴んで止める。いかにも武士といった体躯と鋭い猛獣の瞳を持つその若い男は、行長を厳しく睨んだ。
「お前の大好きなデウスとやらは、姦淫を禁じているんじゃないのか?」
「おっと、虎之助さん。お詳しい事で」
虎之助と呼ばれた彼は、行長が首からぶら下げていた十字の装飾具を掴む。それは南蛮から伝来し、広まっている耶蘇(キリスト)教のものだった。
「なら、お前は帰れ。デウスが天罰を下すぞ」