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戦国ラブドール
第2章 狂宴
 
「嫌ですねぇ、それはそれ、これはこれですよ。秀吉様は彼女を『子飼い全員にやる』と言ってよこしたんです。私だけ仲間外れにしようだなんて、男らしくないと違いませんか?」

 行長と虎之助は大海そっちのけで睨み合い、拳を握る。秀吉はやけに『仲良く』と話していたが、おそらく二人はいつもこんな調子なのだろう。大海がぽかんとしていると、最後の一人、市松と呼ばれた男が動いた。

 三人の中では一番背丈が低いが、勇猛そうな顔つきは最も武士らしい。だが少々、悪童のような荒い気配も背負っている。彼は大海の腕を掴み引き寄せると、噛みつくように唇を奪った。

「ぅあ、ふっ……!」

 初めての口吸いはあまりに突然で、構える暇もなかった。市松の舌が侵入すると、酒の味も体に広がる。逃げ惑う舌を絡め取られ、歯列をなぞられると、背筋に得体の知れない何かがぞわりと走った。

 腰が砕け、大海は崩れ落ちそうになる。市松は背中を支えると、唇を離さないままゆっくりと座らせた。

「市松、お前抜け駆けしやがって!」

 すると虎之助がしゃがみこんで、今度は市松に掴みかかる。
 
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