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戦国ラブドール
第8章 紅天狗(べにてんぐ)
門の前で待っていたのは、市松と虎之助、行長に高虎と、大柄な男ばかり。小夜は身を強張らせるが、それに気付かず市松が無駄に大きい声で近付いてきた。
「よっ、大海。それと小夜、だったか。あんたとは初めてだな。俺は市松、よろしくな」
市松は親しげに笑うが、小夜は大海の背に隠れ警戒した瞳を向ける。すると行長が皮肉な笑みを浮かべ、市松を押しのけ大海の前に立った。
「市松さんみたいな乱暴者は、可愛らしいお嬢さんとは無縁なんですよ。さあ、怖がらなくていいですよ、小夜さん。私は小西行長、どうぞよしなに」
だが、小夜は大海の背中から苦い顔だけ出して、打ち解ける様子がない。予想だにしていなかった展開に行長が汗をたらせば、虎之助が冷めた目を向けた。
「どうやら小夜には、きちんと人を見る目があるようだな。お前みたいな胡散臭い奴、簡単に信用出来るかってんだ」
「そういうあなたこそ、挨拶もなしとは無礼じゃありませんか? 人に嫌味を漏らすばかりで礼を欠くとは、いやはや醜いですなぁ」
さっそく争いの火種が飛び散ると、吉継が手を叩き二人を止める。そして小夜に微笑むと、手を伸ばした。