この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第8章 紅天狗(べにてんぐ)
行長は特に深く迫る事なく話を締めるが、大海は景色を忘れ考え込んでしまう。だが、突然辺りへ女性の叫び声が響き渡ると、一瞬で思考も吹き飛んだ。
大海達はもちろん、町の人間全てが声のした方へ振り向く。と同時に、赤い頭巾を被った男達が反物を抱え、郊外へ走り去る。
「泥棒ーっ!」
その言葉に反応したのは、正義感に溢れる市松と虎之助。赤い頭巾の男達を捕らえようと、厳しく睨み付けた。
「行くぞ、あいつらぶっ飛ばしてやる!」
虎之助が真っ先に駆け出すと、市松は大海の腕を掴む。そして大海が声を上げる間もなく、大海を引っ張り自分も駆け出した。
「早く来い、逃げられるぞ!」
「えっ、ええーっ!?」
あまりに唐突な行動に、行長や吉継はあっけにとられ固まってしまう。だが小夜の叫び声に、正気を取り戻した。
「お姉ちゃん!!」
小夜は腰が抜けたのかその場に膝を付き、青ざめる。
「なんであの人、お姉ちゃんまで連れてくの……お姉ちゃん……!」
「お、落ち着いてください小夜さん、今すぐ私達が連れ戻しますから、ね?」